活躍する防犯の達人- vol.011 永井 健三 さん –

ASES(総合防犯士会)の横顔(9)
わが社の自慢「安全・安心・快適な住環境を提供し続ける」

(株)プロテック・(株)セキュリティ
代表取締役・総合防犯設備士 永井 健三
(登録番号01-0018)

【私の生立ち、会社の生立ち】
私は、瀬戸内海国立公園のほぼ中央、名勝鞆の浦の燧灘で産湯を使い、瀬戸の海のように穏やかに、ワイルドに逞しく(?)、育まれた。田舎育ちの田舎者です故、自慢することなどありませんが。。。
人は、生理的欲求に始まり、名誉欲・社会的欲を満たすためにさ迷い歩く、その道程に「安全・安心に対する欲求」があるとされている。私は、人の欲求「安全・安心で快適な住空間」を提供できる仕事に30年を超える歳月従事できていることそのものが私の誇りであり、自慢と思っています。
起業は1981(昭和56)年4月で、全く異なる職業からの参入でした。昭和47~48年ごろ百貨店、旅館などの大火災で多くの人が犠牲になられた。そのことを受けて昭和50年、消防法の大改定(消防用設備の点検義務)が公布され、「消防用設備業界に追い風」の新聞記事を記憶していた。いつかは「起業を」との淡い想いを後押ししたのがこの記事だった。しかし、この消防設備の業界は、非常に保守的で新参者の入り込む隙間は乏しく、数年は副業の収入でやり繰りする始末。起業後4年経ち、そろそろ右か左かを決めるべき時と考えていた矢先、松下電工(当時)から松下の自動火災報知設備をやらないか、とのお誘い。以降、ご支援・ご指導を頂き、今日に至っています。

【消防設備業者から弱電・通信業者への脱皮】
消防用設備の施工技術(弱電・通信など)をベースに、我々の住空間に存在する直流12V・24Vの設備全てを提供したいとの思いで、ビル管理システム、セキュリティシステム、音響・映像システム、ナースコールなど医療支援システム、教育支援システム、光通信・Lan・電話などの通信システム、自然エネルギーなど環境・省エネ支援システム、等々をメニューに加えて参りました。生まれながらの「スケベな心」が、今日の会社の形態を創ってきた、との陰口が聴こえてくるようです。これらの商品は全て我が社の理念である「安全・安心で快適な住空間を提供する」に当てはまる物です。

【もの創りへの挑戦】
培ってきた施工技術をもって、或る程度のCS
(顧客満足)を達成していると考え、次なるは「もの創り」にチャレンジ、との「スケベ心」が頭を持ち上げてきました。スーパー防犯灯の設置に関与した2006年ごろから、「街かど防犯」に最適なカメラは無いものか?低いイニシャルコストとランニングコストのカメラをもっとたくさん「街の目」として設置できないか?我々施工業者にもっとメリットを出せる商品・仕組みは無いものか?これを具現化する為に、私は私の時間の大半を注ぎ込むようになってしまった。 スーパー防犯灯を簡素化した街頭防犯カメラを「ミニスーパー防犯灯」と名づけ、提案書を福山市役所に持ち込んだら、即予算化され初年度2007年10月には3台の設置をみました。スーパー防犯灯との違いは、通信をせず、映像記録は防犯灯の函内で保管する、と言うもので、当時この発想はかなりユニークだったはずです。以来、福山市は毎年数台継続して設置している。価格はスーパー防犯灯の数分の一ですが、それでも設置台数の増加には時間を要するようだ。

【録画一体型(オールインワン)防犯カメラ(安視ん君=あんしんくん)の開発】
1台の高機能カメラ(モニター付き、追尾など搭載)を設置するより、10台のカメラを点在させたほうが、街かどの防犯には遙かに有効である、との信念に基づき、もっと取扱い易いカメラの開発を始めた。防犯カメラの記録媒体はハードディスクが常識な時、敢えてSDカードを記録媒体として搭載した。この方式は、従前の防犯カメラの概念を覆すもので、防犯設備業界の諸先輩方々から非常に大きなご批評を頂いたことを記憶している。同軸ケーブルの引き回しを必要とせず、カメラハウジングの中に、カメラ、記録媒体、電源装置などを組み込み、一体化し「録画一体型防犯カメラ=安視ん君(あんしんくん)@」として、商品化してしまった。商品のチラシすら出来ていないとき2008年年度末に尾道市役所に「安視ん君」の提案に参上したところ、使用目的に合致したのでしょうか2009年6月に駅周辺の駐輪場に12台納入させて頂いた。官公庁物件への「安視ん君」納入は始めてで、興奮し高揚したことを今でも鮮明に記憶している。以来、尾道市では「安視ん君」が「街かど防犯」の主役を担いつつあります。

【街かど防犯の担い手は安視ん君(あんしんくん)】
街頭防犯、街かど防犯の推進を受けて、大阪、静岡、東京、福岡、熊本、等々からの引き合い、設置実績も増えつつある。「安視ん君」の考え方が「街かど防犯」に寄与し始めたのかなぁ、と実感しつつ、更なる新商品の開発に傾注しています。記録媒体を破壊行為が容易に出来ない高所に設置する「安視ん君」本体内に置き、有線又は無線Lanで記録データをコピーしパソコン上で検証する商品、商用電源が供給できない設置場所や非常時の電源供給遮断時にも太陽光と蓄電池で「街かどの目」になり続ける商品、等々を2011年10月開催の危機管理産業展で紹介し、好評を頂いた。
街かど防犯は、人と機械が上手く融合して始めて最大の能力・効果を引き出せると考えます。機械万能の考え方に異論を唱えつつ、人の手を煩わせる「泥臭い防犯対策」を提唱していきたい。個々の対象物毎の防犯対策で無く、街(町)全体の防犯対策を構築するべきで、その担い手は「街かどカメラ」であり、全国で活躍する2万2000人の防犯設備士に委ねたい。移設や備蓄を容易にし、臨機応変に「街の防犯」を構築できる機動性を持ったものが要求されると信じています。
「街かどカメラに関して、あなたの夢は?」と聴かれる。「街の防犯灯の全てに安視ん君を設置し、その安視ん君を『街のセーフティスポット』のベースとして、様々な機能を付加して行けば、高いレベルの安全な街を創れる」と答えると、失笑する人もいる。
安全・安心な街づくりに貢献すべく、世の中に少しでもの恩返しをと念じつつ、真摯に前向きに防犯・セキュリティ事業に邁進しています。
備忘メモ;出願H18(2006).4.18、登録H19(2007).6.22