活躍する防犯の達人- vol.015 金井 務 さん –

ASES(総合防犯士会)の横顔 (13)
経歴とこれまでの活動

株式会社カナイ代表取締役社長
総合防犯設備士(登録番号06‐0187)
金井 務

1968年に東京港区で営む建築金物販売店カナイ金物の4代目として生まれました。日本大学卒業後に父の紹介で株式会社ツーロックホームに入社し3年間鍵師としての基礎を学びました。その後実家である有限会社カナイ金物(当時)へ入社し、建築金物販売をしながら鍵の出張工事部門を伸ばしていきました。 段々鍵屋としても足元が固まりつつある頃に、以前に当社へ出入りしていました問屋の営業さんが新しい電気錠システム工事の会社を立ち上げたとの事で、株式会社ロックシステムの協力店として電気錠・入退室管理システムの設置業務に携わりシステム工事の基礎を学部事が出来ました。頭の柔らかいこの時期にメカニカルな鍵と電気錠システムの両方を学べた事は、とても幸せな事で有り現在の業務の中でもとても重要な部分を占めています。

私の中のコアな部分
前出の通り、私は建築金物販売を生業とする家庭に育ち錠前工事の世界に入りました。その後入退室管理の延長線上から防犯工事に入っていきました。この流れから考えるに、私の体を構成する大部分は金物成分がかなり濃いのではないかと思っています。
例えば防犯診断に行っても真っ先に目につくのは侵入ルート上の扉であり錠前でありフェンスや雨樋です。心理的抑制効果による領域性の確保ももちろん重要ですが、何よりもまずは建物への侵入ルートを物理的に遮断することに一番注力いたします。また物理的防犯のメリットとして弊社で一旦設置した防犯金具はほとんどの場合10年以上ほぼノーメンテナンスで性能を維持し続ける為、お客様にとってもランニングコスト削減のメリットが大きいこともお勧めする理由の一つになっています。
東セ協の仲間内には「物理防犯の金井」と呼ばれている所以はこのコアな部分の影響が強いのでしょう。

鍵屋な部分
私が修行先から戻ってきた頃は鍵屋に来る依頼の大部分が鍵開けであったり、シリンダー交換であったりで補助錠の取付の依頼もまだそう多くなく防犯意識もあまり高くない時代でした。賃貸住宅で入居者が入れ替わっても前の鍵をそのまま次の入居者に渡すのはごく当たり前のように行われていたように感じます。
このような状況ですから駆け出しの鍵屋には厳しい状況で、赤坂青山圏内の不動産屋やマンション管理室を一軒一軒回って、『バックマージンはいくらくれるの』とか、『もう決まった鍵屋がいるから』とずいぶんと冷たい仕打ちを受けたものです。
状況が一変したのは、やはり1998年から始まったピッキング騒動以降でしょう。2000年のピークの頃には対策済みシリンダーが間に合わず大変な騒動になりました。一番ひどい頃には新たに発注したシリンダーが入荷までに10ヶ月もかかり、お客様に罵倒されることもありました。社員一人一人が朝7時から22時まで1日に10件以上補助錠を付けたりシリンダー交換しても、新たにお電話いただいたお客様宅にお伺いできるのは約1ヶ月後という状況が約1年続きました。この頃に今でもお取引のある多くのお客様に出会う事が出来ました。
古くて防犯性能の低い鍵が短期間で性能の高い鍵へ交換が進んだとも言え、ピッキング騒動は良くも悪くも業界に大きな波紋を残したと思います。
2003年9月に成立した「特殊解錠用具の所持の禁止などに関する法律」(通称ピッキング防止法)の中に錠取扱業者に対する製品の説明責任が明文化され、この法律を基に「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が設置され現在のCP部品の開発が行われました。
CP部品が開発されたことは誠に喜ばしいことでした。今まで自社製品を自分で良いとほめる自己満足の世界で有ったが為に窃盗団の暗躍を招いたとも言えますが、CP部品は第三者機関が一定の基準を持って数々の破壊試験を行ったという、非常に明確な性能表示を持って現れました。商品に対する説明責任を持っている我々にとって安心してお勧めできる商品が誕生したわけです。
良い商品は正確に理解し性能を発揮できるよう正しく取り付ける必要がありCP部品の普及にあたっては錠施工技師のような正しい取り付け技術と併せて普及させるべきと考えます。

オフィシャルな部分
弊社は多くの業界団体に加盟しておりますが、中でもオフィシャルな団体として日本ロックセキュリティ協同組合(現東京ブロック長、以下JL組合)とNPO東京都セキュリティ促進協力会(現理事、以下東セ協)に加盟しています。
JL組合は、設立以来念願の厚生労働大臣認定錠施工技師(1,2,3級)の試験制度が2006年より始まりました。公に認められる職種として錠施工技師と言う名前が一つ増えたと言う画期的な出来事です。筆記試験の他に施工技術の実技試験が含まれるため、平均合格率が30%台という厳しい試験ですが、これからの業界のベースアップには必要不可欠な資格と思い私も早速第一回の1級錠施工技師試験を受験し無事合格いたしました。
現在では錠施工検定実施員や倫理講習講師を拝命し、後進の指導に心を砕いております。錠施工技師は日本ロック工業界とも錠の保守メンテ部門で連携を模索中であり、大きな可能性を秘め今後が楽しみな状況です。
東セ協は警視庁・東防連と密接した活動を行っており、防犯設備士・総合防犯設備士以外に建物防犯協力員・防犯優良マンション等調査員が多数在籍しています。私も防犯設備士委員会としての活動、防犯優良マンションの現地調査や建物防犯協力員として各警察署・自治体などへ防犯講演などに飛び回っております。これだけの業務があると言うことは、いかに世の人たちが防犯に対して関心が高く、自分の住んでいる建物へ不安を抱いているかを表しているのだと思うと、これからの防犯事業者の責任に更に重さを感じ背筋が伸びる思いです。
2007年には、増えてきた防犯診断業務を高いレベルを維持しつつ派遣できる診断スキルを持った人員を増やすために、会員向けに新たに「防犯アドバイザー」資格認定制度が始まりました。
防犯設備士委員会で資格試験を立ち上げるために1年がかりで準備を重ねてきましたが、その際に防犯優良マンションの条文解釈のために意見を交わした時間は非常に濃密で総合防犯設備士として大きくレベルアップできたと思います。また、東セ協は東京都在住在勤の防犯設備士が活躍できる場を広げる為に「登録会員制度」を立ち上げるべく、多くの仲間が協力し準備中です。
これからもこの貴重な経験を生かし錠施工技師や防犯アドバイザー資格の普及と地域防犯力強化という二つの命題により一層の力を注いでいきたいと思います。

以下参考
1990年 (株)ツーロックホーム入社
1993年 有限会社カナイ金物入社 日本全国錠前師協会加盟
1997年 上級救命技能認定
1996年 第二種電気工事士取得
1997年 防犯設備士取得 ツァイスイコンスペアキー代理店
1999年 美和ロックサービス代行店加盟(現東日本美和SD会監査)
2001年 日本ロックセキュリティ協同組合加盟(現総代、東京ブロック長、)
2004年 東京都安全・安心まちづくりアカデミー卒業
2005年 NPO東京都セキュリティ促進協力会加盟(現理事)
2006年 代表取締役社長就任 新橋の警察大学校に講師として参加
2007年 総合防犯設備士取得 一級錠施工技師取得 防犯アドバイザー取得 セキュリティスミス習得
     東京都防犯優良マンション等調査員拝命 建物防犯協力員受託
2009年 赤坂警察署防犯功労賞受賞
2010年 JL錠施工検定実施員拝命
2011年 JL倫理講習講師拝命
2012年 赤坂署警察協議会委員委嘱